漁師結びのひとつである「完全結び」の結び方。強度測定など

「漁師結び」というのは数種類あって、今回の記事ではその中の「完全結び」を取り上げます。
目次
釣りの結び方はこちらの記事にまとめています。
完全結びの結び方
できるだけ、アイ(穴)の内側で「ラインの上にラインがクロス」して重ならないようにする手順を解説しています。

※ 解説画像の青いのはスナップのつもりです。黄色がラインの端です。


この時、下の画像の悪い例のように、アイ付近でクロスさせない。







完全結びの強度
「完全」という名前から相当強そうですよね。
あと、巻き数に関して「4巻き」を推奨しているサイトが多数です。
実際はどうでしょうか?
巻き数別に引張強度試験を行い、巻き数と引張強度との関係の傾向を探ってみました。
強度テスト機材は記事にしています。
使用したラインは、魚に見えないピンクフロロ船ハリスの3号のフロロカーボンラインです。
巻き数を増やすと強度がどうなるかの傾向がわかればいいので各試行回数は3回にしました。
引張強度試験の結果です。

抜粋して表にするとこのようになります。
巻き数 | 強度 |
---|---|
2巻き | 72% |
3巻き | 72% |
4巻き | 72% |
5巻き | 55% |
2~4回巻きで強度が同じ72%になりました。
5巻きの強度が55%と低くなったのは、明らかに「キレイに結べなかった」のが原因です。
キレイに結べなかった時の強度の落ちっぷりが半端ないので、「4巻き」がおすすめになります。
ユニノットの強度が75%ですので、ユニノットと似たような引張強度ですが、アイ(穴)に2本ラインが通っている分、耐摩耗性的には有利なのでしょう。
しかし、切れる時は結び目の中で切れるので間違っても強度90%出る構造ではないでしょうし、PEラインの直結びでは滑ってすっぽ抜けるので他のノットと比べてメリットがなく、個人的には何を持って「完全」という名前にしたのかと思ってしまいます。
ちなみに太めのラインだったらどうなるか、8号のフロロカーボンラインで試験しました。
使用したラインは、魚に見えないピンクフロロ船ハリスの8号です。

抜粋して表にするとこのようになります。
巻き数 | 強度 |
---|---|
2巻き | 61% |
3巻き | 62% |
4巻き | 65% |
全体的に3号よりも強度が落ちています。
完全結びするには8号のフロロカーボンラインでは太すぎるようで、もはやペンチで端線を引っ張らないと締められません。
完全結びはあまり太いラインは苦手だと思われます。
カーボナイロンラインでの完全結びの強度
デュエルのCN500の3号カーボナイロンラインでは、完全結びの3巻きでの平均強度は71%でした。
完全結びはPEラインではすっぽ抜けます
シマノのピットブル8の0.8号を使って切れるまで引っ張るテストを5回試しましたが、切れる前に端線が滑ってスッポ抜けました。