パロマーノットの結び方と、強度テストで判明した意外な事実

比較的素早く結べて強度も最強?とウワサのパロマーノット。
強度テストより、パロマーノットはナイロンでは強度高め、フロロでは強度低めになる傾向。
長いルアーを結ぶとその長さプラス15cmは端糸をカットして捨てないといけない。
目次
釣りの結び方はこちらの記事にまとめています。
パロマーノットの結び方
※ 画像の青いのはスナップのつもりです。

結びしろの目安は、
- 長さが2cmくらいのスナップやサルカンで15cm
- 長さが5cmくらいの#2/0のオフセットフックやジグヘッドで20cm
- 長さが15cmくらいのプラグで30cm
です。
完成して最後にカットして捨てる端糸の長さが、ちょうどこの結びしろの長さになります。



上の画像の通り、本格的に締め込む前に結び目の形を軽く決めます。
そうすることで、アイ付近でラインが重なってクロスするかどうかを目視で確認しながら締め込むことができます。
あと、本線が痛みません。
実際にフロロ8号ラインでやるとこのようになります。

この辺のコツを30秒動画にしました。

パロマーノットの強度
ナイロン、カーボナイロン、フロロのラインで強度テストを行って比較した結果、パロマーノットはナイロンでは強度高め、フロロでは強度低めになることがわかりました。

使用したラインはすべて3号ラインで、強度テスト用にアマゾンで購入して、紫外線が当たらない場所に保存していたものです。
結んだスナップは0.5mm軸のクロスロックスナップの#1です。
それぞれのラインで10回、引張切断試験を行いました。
同じテストを行っても、強度を算出する時の「強度100%」を何にするかによって印象が変わるんですね。
パッケージ記載の強度を100%とした場合
まずは、ラインのパッケージに記載されている3号12ポンド(5.4kg)を強度100%と決めつけて算出した場合のパロマーノットの強度です。
- ナイロン
- ダイワ ジャストロン:95%
- GT-R ULTRA:93%
- カーボナイロン
- DUEL CN500:86%
- フロロカーボン
- シーガーR18フロロリミテッド:77%
- 魚に見えないピンクフロロ船ハリス:73%
ナイロンラインの強度90%超えが目を引くと同時に、フロロの強度が70%台と明確に低いですよね。
カーボナイロンとは、ナイロンにフロロを混ぜたラインなのですが見事にナイロンとフロロの中間の強度86%になりました。
ラインメーカーの山豊テグスさんのショックリーダーのページに掲載されている素材比較表を見ると、フロロの結節強度はナイロンに対して10%程度落ちることが記載されています。
結び目の無い「直線強度」を実測した平均強度を100%とした場合
パッケージ記載の強度である3号ラインを12ポンドと決めつけるこのやり方だと「〇〇ノットの強度は107%!」とか、何の結び目のない状態の「直線強度」を7%超えるという非物理的な謳い文句がまかり通るんですね。
本来は、本田技研の釣り倶楽部が、
【検証】結びの強さは何で差が付く?定番ノットの強度比較 - 釣りの実験ラボ|Honda釣り倶楽部|Honda公式サイト
で行っているような、そのライン現物の実際の何の結び目のない直線強度を測定して、その平均値をそのラインの強度100%とするのが正しいやり方です。
その方法で算出したパロマーノットの強度がこちらになります。
- ナイロン
- ダイワ ジャストロン:81%
- GT-R ULTRA:83%
- カーボナイロン
- DUEL CN500:82%
- フロロカーボン
- シーガーR18フロロリミテッド:60%
- 魚に見えないピンクフロロ船ハリス:64%
フロロラインではパロマーノットは引張強度的に不利
同じ魚に見えないピンクフロロ船ハリスの3号フロロラインを使って同じ強度100%の尺度で測定した他のノットのデータがあります。
まずはユニノットで巻き数別に強度を測定した時のデータです。
巻き数 | 強度 |
---|---|
4巻き | 73% |
5巻き | 81% |
6巻き | 76% |
7巻き | 72% |
8巻き | 72% |
パロマーノットの強度が65%前後でしたのでユニノットのほうが勝っています。
ユニノットの記事はこちら。
次にダブルクリンチノットで巻き数別に強度を測定した時のデータです。
巻き数 | 強度 |
---|---|
2巻き | 63% |
4巻き | 74% |
6巻き | 80% |
8巻き | 92% |
4巻き以上の一般的な巻き数ではダブルクリンチノットのほうがパロマーノットより強度が強い結果になりました。
クリンチノット、ダブルクリンチノットの記事はこちら。
実は私はこのテストをするまで、シーバス釣りのフロロリーダーとスナップをパロマーノットで結んでいました。
だって、ググると「パロマーノットは強度90%超えで最強!」のたぐいの言葉が結構目について、「そうなんだ。みんなが言うからパロマーノットは強いんだろう」と信じてしまうじゃないですか。
自分でやったテスト結果をふまえて、今後は、フロロはユニノットでいいんじゃないかと思っています。
シーバス釣りのプロでBlueBlueの村岡昌憲さんもユニノットらしいですから。強度50%で見積もって逆算してドラグ設定していらっしゃるようで、FGノットよりも先にスナップのノットが切れたほうがラインを回収できるというのもあるでしょう。
ちなみに、太めのラインだとどうなるのか?魚に見えないピンクフロロ船ハリス8号でテストしたら強度69%でした。3号が65%前後でしたからラインが太くなるからといって強度が落ちたりはしないようです。
パロマーノットはPEライン直結びでもすっぽ抜けない
シマノのピットブル8 0.8号を使って、スナップやカラビナを何回かパロマーノットで結んでラインが切れるまで5回程度、引張テストしましたが1回もすっぽ抜けませんでした。